里山の雪解けの季節になりますと、あちこちから山菜の恵みの声が聞こえてきます。中でも天然物の「山ウド」は、採れる期間が非常に短く貴重な山菜となります。
スーパーなどに並んでいるウドはいわゆる栽培物で、自然の山ウドは新芽や若茎・葉の部分は食用として珍重されています。
これから山ウドと栽培ウド(軟化)などについて紹介したいと思います。
おすすめの人
- 山ウドは良く分からない。栄養や効能や食べ方などを知りたい。
- 山ウド以外のうども知りたい。
山ウドとは
山ウドとは
分類:ウコギ科タラノキ属
高さが1~1.5m大型多年草で、産地に自生し雪解けの時期に独特な香りを発します。
又、独特の匂いがある若芽は山ウドと呼ばれ、アクも強いが食べることが出来ます。
茎や葉に短毛が生え、棘はありません。
通常、若葉・つぼみ・茎の部分が食用となります。
但し、食物アレルギーがある場合があります。
長野から山ウドがいっぱい届きました。(^O^)/
「ウド」は被子植物となります。
被子植物とは、将来「種子」になる「胚珠」が子房に包まれている植物を言います。
出典:https://yuzupa.com/syokubutsu/
さらに、被子植物には双子葉と単子葉があります。
双子葉類は子葉が2枚あります。
単子葉は1枚です。
双子葉には、離弁花、合弁花があります。
離弁花類は花びらが離れています。
合弁花類は花びらがつながっています。
そして、「ウド」は被子植物の双子葉食物離弁花類に分類されます。
双子葉食物離弁花類とは、花弁が一枚づつ離れているものです。
例:バラ、サクラ、エンドウ
因みに
合弁花とは、花弁が元でくっついているものです。
例:アサガオ、ツツジ、タンポポ
野生種には「山ウド」と「シシウド」と言った似たものがあります。
山ウドとシシウドの見分け方
・山ウドは、茎から葉がランダムに出ており、葉の出る元のところには色がなく、トゲが濃いものです。
・シシウドは、茎から葉が1つから三つ又に出て、葉の出る元のところに輪状に色があります。猪が食べるところからシシウドと言われてます。
出典:森と水の郷あきた
天然ものは春から初夏が旬
天然物のウドは収穫できる期間が非常に短く、一か所ではごく限られた時期にしか採れません。全国で見ると、南の方から早いところでは3月頃に始まり、関西など本州中部では4月、東北では5月から6月初旬頃までがその時期にあたります。
昔からウドの大木と言われています
ウドは1.5mくらいの大きさになりますが、茎も太く食用にもならず、茎内も柔らかいので木材にもなりません。
そのため、「図体はでかいが中身が伴わず、役に立たないもの」のたとえとして言われています。
山ウドの栄養と効能
山ウドの栄養
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 炭水化物 | 食物繊維 | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | |
19kcal | 93.9g | 1.1g | 4.3g | 1.8g | 270mg | 11mg | 13mg | 31mg | |
鉄 | 亜鉛 | βカロチン | ビタミンK | ナイアシン | 葉酸 | ビタモンC | |||
0.3mg | 0.2mg | 2μg | 3.0μg | 0.5mg | 20μg | 5mg |
出典:文科省 七訂日本食品兵十成分表 100gあたり
山ウドの効能
一般的に薬用として、発汗、解熱、鎮痛剤として使われております。
根茎を生薬にしたものを独活(どくかつ)といい、独活葛根湯などの漢方処方に使われ、根も和羌活として薬用にされています。
又、秋に掘った根茎を陰干したものを湯につけ、土などを取り輪切りして、さらに陰干しして生薬に調整したりします。
根茎の煎じ液は、風邪の初期症状、神経痛、リウマチ、頭痛、肩こり、腰痛、冷え小などの鎮痛・保温に役立つと言われています。
食べ方
山のものは採ったその日のうちに食べるものと言われたものです。
だんだんエグミが増すので、今回はまず、重曹を少々入れて、湯がいて水にさらします。
あく抜き
葉や茎の料理法は
料理法:天婦羅やきんぴらや和え物に!
天婦羅にする部分は茹でずにそのまま使用します。
実際に我が家で食したものです。(一番上の画像にはワカサギもあり)
保存方法
長く保存する場合の一例として、塩を多くまぶして冷凍庫に入れます。
塩を多く入れるとカチカチに凍りにくくなります。
その代わり解凍には塩抜きが必要となります。
ウドには、天然物の「山ウド」と栽培物の「軟化ウド」があり。
ウドの種類は、「山ウド」と「軟化ウド」に分けられます。
ウドの種類
- 山ウド
山ウドはみどり色の野生種であって流通はしていません。
全国で日当たりの良い山里などで自生しているものを言います。 - 軟化ウド
野生種ではなく栽培されたもので、流通されております。
軟化うどは日光をさえぎることで茎を軟らかくして、モヤシのような透き通る白色にさせたものです。
栽培ウドの生産法と生産地
野生種のものは「山ウド」、野菜として栽培されているのは「ウド」と呼ばれます。
栽培ウドの生産法は3つ
- 軟化
基本は日光をさえぎり、緑化の促進をさせずに茎をやわらくし、白くさせる方法です。
初期には「盛り土軟化」と言って、畑に植えたうどの周りに土を盛り日光をさえぎっていました。
この方法では栽培に適した17~18度を保ちにくいことから、次に、畑に掘った溝にうどを植え、筵や土をかぶせて日光をさえぎる「溝式軟化」と言う方法が考えられました。 - うど室
「溝式軟化」のあと、近に掘った穴ぐらの中で栽培する「横穴式軟化」が考案されました。
東京・立川市では盛んに栽培されるようになったようです。
ここら辺りは関東ローム層の地質で土がくずれにくく室造りに最適でした。
「東京うど」と呼ばれます。そんなことから、立川には「東京うど」を使った料理、「立川うどラーメン」という珍しいラーメンがあります。
- 緑化
軟化したものを出荷直前に日光にあててみどり色にしたものを「緑化うど」と言います。
白くなく緑色ではありますが、自然の野生種とは別で「軟化うど」に比べ、香りや苦み、アクが多くなるようです。
栽培ものには「春ウド」「寒ウド」が!
- 春うどは、1月~5月となります。
- 寒うどは、晩秋から冬にかけたものです。
ウドの生産地は!
都道府県順位 | シェア | 収穫量 |
栃木 | 43.9% | 715トン |
群馬 | 26.88% | 443トン |
秋田 | 9.89% | 163トン |
青森 | 4.43% | 73トン |
埼玉 | 2.91% | 48トン |
東京 | 2.79% | 46トン |
出典:野菜ナビ2018年
おわりに
ウドには天然物の「山ウド」と栽培ウドの「軟化ウド」があります。
天然物の山ウドは、独特な香りとアクがあり、若芽から茎、葉と捨てるところがなく食べられます。
料理法として天婦羅、きんぴら、和え物などにして楽しむことが出来ます。
一方、栽培ウドはスーパーなどに流通され、軟化ウド、緑化ウド、室(ムロ)ウドと言われる種類があり、軟化ウドと室ウドは日光を遮って栽培したものです。
緑化ウドは軟化したものを出荷前に日光に当て、みどり色にしてから流通させます。
栽培ものには「春ウド」と「寒ウド」と呼ばれるものがあり、前者は1月~5月に後者は晩秋から冬にかけて出されます。
それでは、又、お会いしましょう。