厚生労働省の「最新タバコ情報」(2020年2月更新の統計情報の喫煙率)によれば、成人男性の喫煙率は減少しているが、まだ高い状況にあり約1400万人が喫煙しているようです。
成人女性の平均喫煙率は8.7%であり、昭和41年のピーク時から比べると横ばい。喫煙率の一番高い年代は40歳代の13.6%、最低は60歳以上の5.4%となっています。
タバコを吸う人は、まだ多くおられるようです。
これから出世に影響を与える年代にとって、タバコはどう影響するか関心があるのではないでしょうか?
そもそも出世とは
組織に属している人間にとって、出世を望まない人はいないと思います。
出世とは何だろうと思うところです。
人によって地位が高くなることが出世と思う人、収入が多くなることが出世と思う人、地位や収入ではなく重要な仕事を任せてもらえることが出世と思う人、実に人それぞれの価値観によって違います。
現代は組織に属すのを嫌い、人に使われるのが嫌で一人で仕事をしている人が多くなりました。
加えてこのコロナ禍の時代においてテレワークが浸透し、会社に出勤しなくても自宅で作業が出来る時代となりました。
ひと昔前の価値観は通用しなくなりました。
仮に組織において出世を考えた時、地位にせよ給与にせよそれを評価するのは上司である人間です。
感情がある人間であるが故に絶対評価ではなく、相対評価がまかり通っているのが現状ではないでしょうか?
俺の言う事を「良く聞く人間」だから、「学校の後輩」だから、「誰それの縁故」だから、「趣味が近い」とか数え上げればキリがありません。
立派な有名企業でもそうであります。
ましてやオーナー経営や中小企業においては何をか言わんやであります。
「趣味が近い」ということですが、このケースは実に多いのであります。
「ゴルフ仲間」「釣り仲間」「写真仲間」「犬・猫などペット好き仲間」などなど。
こういったサークルでは、必ずと言ってよいほど「飲み会」が付属します。
飲みニュケーションではお互いの本音や気持ちが分かり合える絶好の場所で、上司からすると格好の査定評価の場所となります。
そこで、「タバコを吸う仲間」であります。
いわゆる「タバコミュニケーション」であります。
昨今、ただでさえ喫煙は白い眼で見られる世の中、お互いが支え合う同志の気持ちになるのではないでしょうか。
今や喫煙場所も決められ、仕事中の喫煙はさぼっていると白い眼で見られたりします。
そこでの「タバコミュニケーション」は、当然、分かり合える仲間として結束は固くなります。
どうでしょう?上司がタバコを吸う人であり、私も吸うタバコミュニケーションが存在したならば・・・。
強固な結束のなか決して大袈裟ではなく、上司の相対評価は爆裂するかも知れません。
タバコを吸う人は出世しない
スメルハラスメント(smell harassment)という言葉があります。
この言葉はセクハラ、パワハラと言った言葉と同様の英語ではありません。
日本で造られた英語です。
日本人は潔癖な人種ですから、臭いに対しての敏感なのは納得がいきます。
人が嫌がる臭いは、たくさんあります。
口臭、体臭、加齢臭、タバコ臭、香水などがあります。
タバコ臭は口からではなく、鼻からも出ます。
そして、副流煙というものによる(非喫煙者の受動喫煙による)健康被害が問題となっています。
タバコ臭のハラスメントに加えて、他人の健康被害にも影響を与えているのです。
昨今の職場での喫煙が、人間関係に影響を与えているのは事実であります。
周囲の非喫煙者への健康影響について厚労省のホームページによると
たばこの煙による健康への悪影響は喫煙者本人にとどまりません。他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙についての健康影響は、流涙、頭痛などの症状だけでなく、肺がんや虚血性心疾患等の疾患の死亡率等が上昇したり、非喫煙妊婦でも低出生体重児の出産の発生率が上昇するといった研究結果が近年多く報告されています。小児では喘息、気管支炎といった呼吸器疾患等と関連があると報告されています。また、乳児では乳幼児突然死症候群と関連があると報告されています。
さらに、喫煙と健康問題について簡単に理解したい方のために(Q&A)によると
受動喫煙(他人のたばこの煙を吸わされること)と個別疾病との相対危険度
(非喫煙者を1とした時の喫煙者の危険度)
個別疾病の相対危険度 相対危険度 肺がん死亡数(US-EPA報告 1998) 1.19 虚血性心疾患死亡数(Heらによる調査 1999) 1.25
となっています。
欧米諸国では幹部クラスはタバコを吸いません。
むしろ「喫煙者は出世できない」と言われています。
日本では10年以上前の転職サービス「デューダ」の調査によると、「タバコが職場の人間関係に有利」と回答した喫煙者は49%、不利は51%となり、非喫煙者では有利が55%、不利は45%という結果だそうです。
非喫煙者が、職場の人間関係に有利だと答えてタバコミュニケーションの存在を認めていることになります。
一方、「出世に影響する」としたのはわずか3%で、日本においては「タバコを吸う人は出世できない」とは思わない人が多いようです。
10年前の調査と言えども欧米諸国と日本の考え方の違いはずいぶんとあるようです。
しかし、昨今タバコを吸うのをやめた人が若者を中心に多くなりました。
自分の健康管理にスポーツを通してタバコの弊害に目覚めて来たのでしょう。
そういった若者が将来欧米諸国のような考え方になる日は遠くないと思います。
そうなると必然的に「タバコを吸う人は出世しない」時代になるかも知れません。
タバコを吸わない人は出世するか
タバコを吸わない人は、自分自身の健康管理にも気を配っており、もとより他人にも被害を与えていません。
しかし、結論から言えば吸わないから出世するとは限りません。
あえて言えば、自身の健康管理が出来ない人には、人を管理する職も任せられないという時代になって来たと言えましょう。
仮に評価が同じである2人のうちどうしても1人を決めなければいけない場合どちらを選びますか?
タバコ臭はスメハラ?
スメハラは廻りの人に、臭いで不快な思いをさせていることを言います。
タバコの臭いは立派なスメハラになります。
2018年に健康増進法の一部改正が成立し、2020年4月より全面施行され、職場や、飲食店、公共施設などで喫煙場所を設置しなければいけなくなりました。
喫煙者がその場所からオフィスに戻った時など、自分の体に残ったタバコの臭いが、どれだけ迷惑をかけているかを自覚する必要があります。
女性はそれを特に嫌います。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、たばこを吸う男性の割合は2019年で28.8%だった。
3年前の前回調査から2.3ポイント減少し、初めて30%を切った。
女性は0.7ポイント減の8.8%。年代別では、男女とも20代の減少幅が最も大きかった。20代の喫煙率を男女別に見ると、男性は4.1ポイント減の27.0%、女性は1.9ポイント減の8.3%だった。
喫煙率が最も高かったのは男女ともに40代で男性は37.6%、女性は13.4%だった。男性全体の喫煙率は01年では48.4%に上っていたが、減少傾向が続いている。今年4月には受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が全面的に施行され、飲食店や職場、ホテルのロビーなど不特定多数の人が利用する施設が原則禁煙となった。
出典:日経新聞
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まとめ
「タバコが職場の人間関係に有利」、「不利」は、喫煙者、非喫煙者にとっても同じような意見のようです。
一方、「タバコを吸う人は出世しないのか」についても、日本ではほとんど意味がないようです。
しかし、スメルハラスメントに対する環境が厳しくなる日本において、自身の健康管理が出来ない人にとって「出世」は、欧米並みに無縁となる時代がやって来るようです。
それでは、又、お会いしましょう。