久しぶりに近所の馴染みの蕎麦屋へ行った。
この店はあることがきっかけで8年前から頻繁に訪れるようになった。
外出自粛になってからも月に4回は訪れている。
今は全くといって他店へは行かない。
理由はこの蕎麦屋は、3蜜とはかけ離れた客の少ない店で安心・安全だからである。
これだけ行くと親しくなり、客が引けるとおかみさんは厨房から出てきて、世間話や町内会の愚痴などを話し合うようになっていたのだ。
おかみさんは、久しぶりの訪問で私たちの顔をみるなりすぐに言い寄って来た。
「Instagramの騒動」を考える
「ねえねえ聞いてくれるぅ~?」
「どうしたの?」
「先週、店に出てなかったのよ~」
「ええっ、どうしたの?」
「実はねえ、先日、こんなことがあったのよぉ~」
「私、天婦羅を揚げていた時、なんか具合が悪いと思っていたら突然眼が見えなくなったのぉ~」
すぐに手を休め、代わりの人に替わってもらったそうだ。
が、どうにもおかしいので、すぐに医者行って診てもらったら、神経系統に問題があるようだと言われたとのこと。
「だから先週、店の仕事を休んだのぉ~」
と、続けさまに話して来た。
2週間ぶりの訪問でびっくりした。
何でそんなことになってしまったのか詳しく聞くと滝のように話し出した。
聞いた内容を時系列で整理すると。
・近々、結婚予定の長男と彼女が、婚姻届けの保証人欄記入の依頼で店に来た。
・営業中の為、仕事着で店のテーブルでそれに記入した。
・記入する際、住所を間違えたので訂正の横線を引き、訂正印を押した。
・店を出て長男の住まいの部屋に戻るなり、彼女は大泣きして婚姻届け用紙を粉々に破いてゴミ箱へ。
・泣き出した理由は2つ。
1つは、大切な日なのに仕事着で、しかも客のテーブルで書いたこと。
2つ目は間違えて横線・訂正印を押したこと。
・長男は狼狽してその場で母親に電話、○○○ちゃん(彼女)に誤って欲しいと言って来た。
・おかみさんもこの異様な事態に困惑して慌てて対応した。
・おかみさんは精神的に不安定になって、一時的に眼が見えなくなった。
ざっと、こんな経過だったようだ。
彼女は婚姻届けをインスタグラムにアップするつもりだった。
それを仲間にインスタグラム上で自慢したかったようだ。
訂正されている用紙は恥ずかしいと言っているのである。
極め付きは、その用紙が超有名な□□□宝石店のロゴ入りの用紙だったようだ。(今はこんな時代になったようだ)
結局、ロゴ入りの用紙は改めて□□□宝石店からもらえたらしいが、私はその後のことを聞くのを憚った。
女性が強くなったのか、男性が弱くなったのか、今どきはこんなことが常識なんだろうかと思った。
SNS(インスタグラム)は結婚の意味まで変えてしまうのかと思うと、どうにも腑に落ちない。
この先、何か不吉な予感(気配)がしてならない。
これからの二人に幸あれと願うばかりである。