梅雨に入ると甘い芳香を漂わせてくれるクチナシという花があります。
夕暮れの雨の下町の路地を抜け、ふと気が付くと足元にひっそりと佇んで咲くクチナシは何とも旅情を誘います。
今回はクチナシの特徴である「香り」と「実(み)」の利用のされ方をご紹介したと思います。
おすすめの人
- クチナシは何故こんなに香りが良いのか知りたい。
- 果実は何に利用されているのかしりたい。
クチナシについて
クチナシは香りのある樹木・三大香木のひとつとして有名です。
三大香木とは春に咲く沈丁花、秋に咲く金木犀、そして夏に咲くこのクチナシを言います。
クチナシは和名でありまして漢字で書くと「梔子」となり、秋には実を熟しますが口が開かないことからクチナシと言われています。
樹木の高さは大きくて2m位の低木で、葉は艶のある濃い緑で真っ白な花を咲かせてくれます。
庭木として人気があり、花弁の数は通常6枚ですが時として4枚~8枚となり、花弁一つ一つは小さくヒトデのように放射状に開いて一重咲と八重咲の種類があります。
特徴としては花の実は漢方や食品の色付けや食用に、又、繊維の草木染の染料として使われています。
クチナシの種類
- オオヤエクチナシ → 八重咲品種でガーデニアとも呼びます。実は付けません。
- コクチナシ → 葉も花も株も小型で、一重咲きと八重咲があります。
- ヒメクチナシ → 普通種より小さい八重咲きとなります。
- ヤエクチナシ → 花は大輪八重咲で香りも強い。昔は切り花として広く栽培されたが、近年少なくなりました。
- 斑入りクチナシ → ヒメクチナシの品種で、葉に淡黄白色の斑が入ります。
- マルバクチナシ → 葉の先端が丸みが帯びて一重咲きです。
クチナシ八重
コクチナシ(一重)
コクチナシ(八重)
データ
・科名:アカネ科 クチナシ属
・開花時期:梅雨時期6月頃
・花の色:白色
・栽培法:庭植え、鉢植え
・花の香り:強い芳香
・花の実:漢方・着色料・食用使用・染料に使用される
花言葉
「とても幸せ」、「喜びを運ぶ」、「洗練」、「優雅」
クチナシの香り成分
昔から香りが良く強い香りの樹木を「三大香木」と言われていますが、クチナシはその内のひとつの夏に咲く花として代表されます。
クチナシの花は甘い香りを出し、香りはリラックス効果として精油やオイルにも使われています。
クチナシの香りの成分は、ベンジルアセテート、リナロール、リナリルアセテート、ターピネオール、ジャスミンラクトン、アントラニル酸メチルなどです。
ジャスミンラクトン、アントラニル酸メチル、リナロールは羽衣ジャスミンにも多く含まれています。
中国では、梅、百合、菊、桂花、茉莉花、水仙とともに“七香”とされているようです。
クチナシの実の効能と利用のされ方
クチナシの実は、漢方薬や食品の着色料や繊維の染料として利用することが出来ます。
漢方として
実・粉は漢方薬(山梔子)として、止血や鎮静、炎症を抑える、 抗菌効果に使われます。
成分は、ゲニポシド、ガルデノシド、クロシン、クロセチン、マンニトールなど。
ゲニポシドは山梔子に含まれるイリノイド配糖体であり持続的な胆汁分泌亢進作用があるとされています。又、ケイレン性の痛みを抑える鎮痙(チンケイ)作用や胃液分泌抑制作用が報告されています。
着色料・染料として
食品の着色利用に
クッキー、チョコレート、餡子、パン、饅頭、ゼリーなどに使われています。
サツマイモを黄色くする
染料(草木染)として
ハンカチやスカーフといった色々な繊維に「梔子染め」として染料に使います。
実の着色・染料
実で染色した布
カロチノイドの一種・クロシン黄赤色の色素が含まれており、食品の着色料や草木染に使われます。
画像の出典は:杉並の自然学
まとめ
香りの三大香木として有名なクチナシには、花の香りと共に実(み)には重宝な利用のされ方があります。
ひとつは漢方薬として、二つ目は食品の着色料として、三つ目は草木染の染料としてです。
梅雨時期になると甘い香りのクチナシが満開となります。
大いに楽しんでもらいたいと思います。
それでは、又、お会いしましょう。